任意整理は裁判所を介さず直接各金融業者と交渉し「将来利息」や「遅延損害金」などを免除しもらう方法です。毎月の支払額も減額してもらって分割和解を組む手続きをいいます。残債務額を36回払い、または60回払いで分割を組むことが多いです。※将来利息とは今後払う利息の事です。
任意整理の場合は原則として利息の支払が免除されます。返済した金額すべて元金に充てられます。金融業者に支払う総返済額はかなり少なくなります。債務者が自ら金融業者と交渉をしても将来利息免除などの条件を受け入れてもらえないので任意整理をする場合は基本的に弁護士等に相談する事がおすすめです。

任意整理のメリット
  • 将来利息や遅延損害金を免除してもらえる
  • 毎月の弁済金額を減額してもらえる
  • 官報に掲載されない
任意整理のデメリット
  • 信用機関に一定期間、事故情報が登録される
  • 担保や保証人がついている場合、担保実行や保証人への請求リスクがある
  • 弁護士等への費用がかかる
  • 裁判を起こされる可能性がある

土地や建物などの不動産を担保に銀行からまとまったお金を借りる場合、その金額に応じた抵当権を設定します。土地や建物を担保にお金を借りた人がその返済を続けられなくなった場合、お金を貸した銀行や債権者は担保にとった土地や建物を処分して債権を回収することになります。土地や建物の処分というと法律に基づいて行う競売ですが競売は手続きに時間がかかる上に回収額が低くなることがおおいため、実際には民事執行法に基づく不動産手続きによらずに処分することが多いようです。競売にたよらず不動産の売却によって得た代金を債権の回収にあてることができます。このような方法を任意売却といい債権者にとっては非常に便利な方法で実務上よく利用されています。

任意売却を検討するのが通常

競売によって債権の回収を図る場合法律に従った手続きを経なければなりません。競売の申立てを行ってから落札するまでに要する期間も長く最低でも六ヶ月程度、長い場合には2,3年経過してしまうこともあります。競売の申し立てを行う時に、登録免許税や予納金などを準備する必要があります。時間や手間がかかるだけでなく競売における不動産の売却基準価格も市場の総価格から比べると6,7割程度と低くなってしまうのが通常です。

任意売却がどんな場合に行われるのか

任意売却が行われるのは競売によって低い額で落札されるのを避けるためであったり、不動産が競売にかけられるという事実を世間に公にしたくないと思っている所有者の意向による場合があります。一方抵当権を設定している債務者にしてみれば不動産を時価よりも低い価格で手放さなければならないだけでなく処分してもなお債務が残ってしまう可能性が高くなります。競売がなされればチラシやネットで競売物件として掲載される可能性もあり近隣住民に知られ大きなストレスを抱える事にもなりかねません。この点、任意売却は通常の売却と同じですので近隣住民に住宅ローンの破たんを知られる事はありません。債権者・債務者双方が自分にとってメリットのある方法を考えた場合に多くの場合に多くは競売よりも任意売却を選ぶことになります。

任意売却に必要な事前調整

任意売却は時価に近い価格で売却できるいうメリットがあります。任意売却を行うには債務者である所有者の売却意思だけでなく抵当権者などの対象不動産に担保権を有する債権者、および賃借人などから了承を得る必要があります。また任意売却後に債務が残る場合には、その支払義務は保証人にも残ることから保証人の同意も必要です。関係者が納得できる方法を取りながら手続きをすすめていく事ができれば任意売却を成功させることができる確率が高くなります。

任意売却手続きの流れ

特定調停


特定調停は裁判所で調停委員会を介して各金融業者と交渉し責務の減額や毎月の弁済額の減額、利息の免除などの条件で組む手続きの事をいいます。特定調停は裁判所で調停委員が間に入った状態で交渉が進むので、債務者が自身で行うのが一般的です。

特定調停のメリット
  • 将来利息や遅延損害金を免除してもらえる
  • 長期分割にって毎月の返済額を減らせる
  • 弁護士等への費用がかからない
  • 官報に掲載されない
特定調停のデメリット
  • 和解調書に執行力がつく
  • 信用機関に一定期間、事故情報が登録される